金魚まつり 7月23日・24日(2017年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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金魚は日本の夏の風物詩である。

 

自慢ではないがこれまでの人生で金魚を飼っても一年以上生かしてあげられたことはない。
飼ってはいけないものは多いが、金魚はその中でも手を出してはいけないベスト3に入るだろう。

ここ二、三十年は飼うのをあきらめ、暑中見舞いや残暑見舞いに出す絵ハガキの絵柄を金魚にすることで憂さを晴らしている。
しかしせめて金魚は観たい。
そんなところに金魚まつりなるイベントを発見した。
ここなら金魚が大量に観られそうである。

 

7月23日に江戸川区にある行舟公園で行われる金魚まつりに行く。
正式名称は「第45回金魚のふるさと江戸川区特産金魚まつり」。

江戸川区特産金魚まつりの写真

江戸川区特産金魚まつり

江戸川区は金魚のメッカらしく、実に本格的な業者がずらりと並ぶ。

すらりとした原種のフナに近い小型の赤い金魚、赤や黒が混じった小さな出目金などは夏祭りの縁日の金魚すくいでもおなじみ。

江戸川区特産金魚まつりの金魚の写真


それでも価格は一匹最低四百円、多くは一匹千五百円から二千円くらい。
テントに並ぶ店舗を次々に見ていくと、先へ行くほど金魚は大型化し、獅子頭など一匹五千円、二万円とどんどん高級になっていく。

江戸川区特産金魚まつりの金魚の写真

江戸川区特産金魚まつりの金魚の写真

江戸川区特産金魚まつりの金魚の写真

江戸川区特産金魚まつりの金魚の写真

江戸川区特産金魚まつりのキャリコの写真

キャリコ

江戸川区特産金魚まつりのキャリコの写真


最高級品は掌に乗らないくらいの大きな「らんちう」だ。
一匹五万円ほど。
その値段にも驚いたが、何とも立派なお姿に見とれてしまう。
通りがかりの素人がとても手が出る値段でも品でもない。

もちろんうまく育てられる自信なんてないから、私なんぞは絶対に飼ってはいけない。
らんちうにはそう思わせる風格がある。

 

江戸川区特産金魚まつりのらんちゅうの写真

らんちう

あたりを見回すと、業者の方たちか客からの育て方に対する質問に答えている。
出店も金魚売りだけでなく、水槽や水草、餌など金魚ショップが並び、飼育相談のブースもあり、どれもかなり本格的なものばかりだ。

どうやらここはかなりの金魚マニアが集う場所らしい。
しかしそれにしてはかなり子供の数が多いのはなぜ? と思っていたら、お目当ては金魚業者のテントとは別に生け簀が何十mも並んだ金魚すくい

江戸川区特産金魚まつりの写真

江戸川区特産金魚まつりの写真


私の生涯でこんなにたくさんの人が金魚すくいに興じている姿を見るのは初めてである。

百円(中学生以下なんと無料‼)と五百円の二種類選べるが、五百円の方はかなりの高級金魚がすくえるようだ。
これがすごい人気で一時間待ちほど。
浴衣姿の親子連れが金魚の入った透明のビニール袋を下げて帰る姿がほほえましい。

 

初体験の金魚まつり、うかつに金魚には手を出してはいけないと改めて肝に銘じたもののせっかく来たので、生きた金魚ではなく、障害者の方々が作って売っていた赤色と青磁の金魚型箸置きをふたつ買って気持ちを収めた。

 

帰りに同公園にある江戸川区自然動物園に寄る。
小さいが本格的な動物園で、何といっても入場料無料がすごい! 

江戸川区自然動物園の写真

江戸川区自然動物園

江戸川区自然動物園の写真


高級金魚に圧倒され、ふれあい動物園で癒されて、なかなか充実した夏の休日である。

 

家に帰って、いろいろ金魚に想いを馳せた。

金魚といえば、江戸時代に金魚を愛でたのはもっぱら玄関先や庭に置かれた陶器製の金魚鉢、もしくは池であった。
その際金魚を観るのは上からのぞく上見だった。

それが時代とともに金魚鉢の主流がガラスになり、屋内に置かれるようになると、金魚鉢を目線の高さで観る横見に変化したという。

すると金魚も上から観て見た目のいいものから、横から観た姿がきれいな金魚へと人々の好みが変わったのだという。

 

金魚繋がりでいうと、以前は近所の空き地に生えていた金魚草を花泥棒し、活けたり、寒天やゼリーに浮かべて食べたっけ。
尾っぽがひらひらした黄色い金魚のようで愛すべき食用花である。
その空き地もなくなり、そういえばそれ以来金魚草も見ていない。

 

 思い出も金魚の水も蒼を帯びぬ  草田男

 

江戸川区特産金魚まつりの写真