お盆と蓮の花

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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上野不忍池(しのばずのいけ)の蓮が蕾をつけ開きはじめている。

 

大きな蓮の葉が池一面を覆うさまはまた格別。
大きな蕾が開いたら中から小さな仏様が出てきてちょこんと蓮の葉の上に坐りそう。
仏教徒でなくても蓮池には何か特別なものを感じるのだ。

上野不忍池の蓮の写真

上野不忍池の蓮の写真

上野不忍池の蓮の写真

 

世界から日本人はブッジストといわれる割にはお寺に用があるのは盆と春秋の彼岸と大晦日除夜の鐘の年四回くらいだ。

そのお盆にあてはまるのが2020年は8月13日~15日。
お盆は亡くなった先祖をお迎えするという日本固有の行事だ。
ほかの行事がほとんど新暦に移行しているのに対して、このお盆だけは旧暦七月であり新暦8月のお盆休みとの兼ね合いで誰もが認識している珍しい行事だ。
逆に七月がお盆という認識の強い一部の方々や地方では七月ということにこだわって新暦7月にお盆を行なっている。

 

面白いのは仏壇屋さんなどお盆の道具を売る商売の方たちの反応。
一部7月お盆の方たちがいるということで、お盆商品のキャンペーンを6月頃から行っているのだ。

売る方とすれば、8月だけより7月から売れるものなら売りたいのは当然だ。
しかし間接的とはいえ仏教従事者があまりに商売熱心なのはいかがなものか。
そう思っていたところ、百貨店で盆提灯を売っていた年配の販売員の方に聞くと、7月にお盆を行うのは東京だけなのだそうだ。

 

そうだったのか!
新盆(にいぼん)という言葉は亡くなった方が初めて迎えるお盆のことだが、仏具も新盆用は迎え行燈を黒漆ではなく白木を使うなど若干の違いがある。

こうした仏事に全く無関心だった頃、新盆は旧盆にたいする新暦に行うお盆のことだと思っていたのは、まったくもってお恥ずかしい限りであるが、無宗教世帯にはこういった勘違いをしている同輩が結構いるような気がする。
地域によっては新盆(あらぼん)、初盆(はつぼん)と呼ぶそうだがこちらの方が勘違いしなくてすむ気がする。

 

それはともかく、蓮の花で思い出すのがベトナムを舞台にした映画「季節の中で」の中のエピソードのひとつ。

アオザイを着た少女が真っ白な蓮の花の蕾を抱えて売りに行くシーン。
その白い蕾の見事なまでの美しさといったら。
あの花を実際この目で見てみたい、しかし不忍池では見つかっていない。
ほかでも求めていまだにかなわない。
だがそれでいいのかも。
心の中にある永遠に美しい白蓮である。

 

蓮の花の写真