朝顔市 入谷鬼子母神(2012年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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7月6、7、8日は入谷の朝顔市が開催される。

 

入谷鬼子母神の前の言問(こととい)通りに百二十軒の植木屋さんがみごとに咲いた朝顔の鉢植えを威勢よく売る、夏の風物詩。

入谷鬼子母神の写真

入谷鬼子母神

入谷鬼子母神の写真

朝顔市の写真

朝顔

朝顔市の写真


ひと鉢に三本立てで二千五百円。
眺めているだけでも楽しいが、朝顔は咲いてみないと何色の花がつくのかわからないので、好きな色の花が咲いている鉢を選ぶのが確実。

もともとは病気平癒の言い伝えから、その御利益に驚いて「恐れ入谷の鬼子母神」の名文句を生み、小さな寺だが口コミの力は昔も今も侮れない。
人気になった鬼子母神の参詣客目当てで朝顔市が始まっている。

 

 朝顔につるべ取られてもらひ水  千代女

 

江戸っ子は朝顔が好きだ。
江戸時代、下級武士が内職で朝顔の品種改良に精を出し、さまざまな色や柄、大輪の品種を生み出したという。

うちの朝顔はもちろん入谷朝顔市で購入したもの。

朝顔市で購入した朝顔の写真

朝顔市で購入した朝顔

その花が終わり種を採っておき、翌年蒔く、手入れが良くないので年々花が小さくなるのはいたしかたないが、毎年繰り返し咲いてくれる。
でももう限界かもしれないので来年はまた新しい朝顔の鉢を手に入れることにしよう。

 

朝顔といえば源氏物語にも朝顔と呼ばれる姫宮が登場する。
源氏が美しい姫を見染めてまるで朝顔のようだと思いのたけを手紙にしたためる。
しかし姫は朝顔に例えられたことを理由に首を縦に振らない。

「私を秋に咲く朝顔のように盛りを過ぎた女と思いなのですね」
要約するとこんな具合。

 

私はここで首をかしげた。
朝顔が秋の花? 

そう、俳句の季語も秋。
おそらく朝顔の旬は旧暦七月の秋。
初秋である。
つまり旧暦七月の花である朝顔だが、新暦になってもやはり朝顔の花は7月に見たい。
で、ひと月早く咲かせているのだ。
う~ん。

源氏物語朝顔の君が盛りを過ぎた年増にたとえられてすねたのも今は昔。
現在では7月、旧暦でも六月夏の花になってしまっているから、われわれはピンとこないわけである。

 

実は源氏が例えた朝顔は初代朝顔の桔梗である。
その後朝顔の呼び名の花は変わり二代目が韓国の国花でもある槿(ムクゲ)。

われわれが親しんでいるつるべに巻きつく愛すべき朝顔は三代目なのだそうだ。

朝顔市で購入した朝顔の写真