水仙祭 葛西臨海公園 2月中旬まで。
---------------------------------------------------------
新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
--------------------------------------------------------
旧暦一、二、三月が春である。
新暦ではほぼ2,3,4月にあたる。
正確には立春からが春。
まだ寒い時期ではあるが春の兆しは水仙や梅のつぼみ、早咲き桜などで刻一刻と近づいているのが分かる。
ちいさな春の兆しを愛でながら満開の花に時期を待ちわびるのがかつての春の過ごし方であろう。
その兆しの多くは花である。
日本で単に花といえば桜を指すから、桜を待つ季節と言っても過言ではあるまい。
「♪梅は咲いたか桜はまだかいな……」
江戸小唄である。
桜の花を待ってはいるが、春を告げるのはまず梅である。
どこから枝が伸びていくか皆目予想のできない枝ぶりと、まっすぐ延びる緑色の新枝の取り合わせが個性を放つ。
幹には白く苔むして、まるで枯れ木のように見えるのに、いきなり咲く白や赤の花。
早い梅は1月下旬から咲いている。
しかし見頃は2月いっぱい3月の上旬まで。
桜を待っているはずだったが、すっかり梅の香に酔ってしまっている自分がいる。
梅は見て良し、におい良し、食べて良し。
ご飯に合うといったら一等賞、保存食としても優等生。
画題としてもいい。
そういえば先の小唄、梅や桜を心待ちにしている歌かと思えばさにあらず、続けて、「柳やなよなよ、山吹ゃ色ばかり…浅利とれたか蛤はまだかいな鰒くよくよ片思いさざえは悋気で角ばかり…」と続く。
はてこの唄は?
で最後に「柳橋から小船を急がせ船はゆらゆら波まかせ船から上がって土手八丁 吉原へご案内」となる。
つまり吉原の花魁たちを花や貝に見立てて歌っていたのである。
先ほど春を告げる梅と書いたが、世界的に見て春を告げるのは水仙のほうが優勢である。
早いところでは12月から咲いているようで、葛西臨海公園では二十万本の水仙が見られる。
独特の形をした水仙だが、よく見る中央が黄色の水仙か花自体が黄色のもの、ラッパ水仙など。
どれもヨーロッパから渡ってきた花で花言葉である「自己愛」や「うぬぼれ」が示す通り、ギリシャ神話のナルシス、ナルキッソスのエピソードが似合う植物のようである。