鮎解禁

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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新暦6月に入ると、いよいよ鮎の解禁である。

 

釣り師たちはこの日を待ちかね、上流の清流で前日から場所取りして待機し、川を遡上してきた若鮎を友釣りする。
これは、鮎の縄張り意識の強いところに注目して考案された独特の漁法である。

岐阜県では五月十一日から一足先に長良川の鵜飼が始まっている。
千三百年前からの由緒ある行事であり、皇室の御料場、唯一の御陵鵜飼でもある。

年八回皇室の鵜飼が行われるようで、獲れた鮎は皇室に献上されるほか、明治神宮伊勢神宮にも奉納されるそうだ。

 

かように日本人は鮎好きである。

友釣りに鵜飼、この鮎を捕えるためだけに考案された漁法を見ても、これはもう鮎好きを超えて日本人の鮎信仰と呼びたくなるようなすさまじさ、いや執念すら感じるのだ。

もちろん鮎は美味い。
しかもその姿、色合いの美しさ、たった一年しか生きられない年魚のはかなさ。
どうも鮎の全てが日本人好みなのだろう。

鮎の塩焼きの写真

鮎の塩焼き

ちなみに6、7月に獲れた鮎は若鮎、8月の鮎は丸々と太った成魚となり、9月の鮎は落ち鮎と呼ばれる。
10月の鮎は卵を抱えはじめ子持ち鮎として、これまた絶品であるが、この頃にまた禁漁になる。

 

釣り人には常識だろうが、鮎は東京でも釣れると知って驚いた。
しかも多摩川二子玉川あたりや、狛江、調布あたりでも釣れるというからびっくりした。
だってニコタマって世田谷区じゃないですか!

都島しょ農林水産総合センターの発表によると、2016年多摩川を遡上した鮎の推定数は463万匹だという。
都が調査を開始した1983年は18万匹だったが、年々水質の改善が進み、2012年には1194万匹を記録。
その後も高水準で移行しているという。

知らないうちに多摩川は屈指の鮎の漁場になっていたのだ。
東京都、がんばってるなぁ。

 

禁漁時期の2~4月の稚鮎の天婦羅は絶品であるが、なぜ食べられるのか? 

実は禁漁時期といっても、海で釣るのは別。
わずかではあるが港などで釣れた稚鮎が出回るという。
また一部遡上せず定住する鮎は対象外のところがある。

有名なのが琵琶湖で、海に出ずに留まる。
そのため個体は大きくならずせいぜい10㎝だ。

琵琶湖の稚鮎が大量に水揚げされて全国に出回る。
そのためわれわれもうまい稚鮎の天婦羅にありつけるというわけだ。
また琵琶湖の稚鮎は、解禁に合わせて各地の川に放流されているようだ。
まったくもって琵琶湖はえらい!

 

稚鮎の写真

稚鮎

稚鮎の天ぷらの写真

稚鮎の天ぷら


7、8月に出回る稚鮎もあり、かえってこちらの方が多い気がするが、それは稚鮎専門の養殖なのか。
それとも翌年4月頃に成魚にするべく早く育てられているのか。
年魚であるはずのこの稚鮎の一生はどうなっているのだろう。

日本固有と言っていいほど日本の河川になじんでいる鮎だが、人気があるがゆえに我々一般人にとっては謎も多い。

 

鮎飯の写真

鮎飯