桜の開花宣言

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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十一侯は桜初めて開く、である。

 

桜の開花をわざわざ侯に盛り込んでいるところが、昔からいかに桜の開花を待ち望んでいるかよくわかる。
もちろん我々もこの時期になると気持ちがそわそわする。

「梅は咲いたか、桜はまだかいな」などという小唄・端唄を前に紹介したが、桜の前では梅も形無しである。
「春は花」と言うが日本人にとって花と言えば桜花を指す。
和歌の世界も同様である。

 

「桜の開花はまだか」

何を待っているかというと、気象庁の職員による開花宣言を待っているのだ。
しかし、ある年はこの侯の予想より一侯早く、3月21日に東京の開花宣言が出された。
満開の予想は3月31日である。
テレビや新聞各紙もこの開花宣言を報道する。

テレビに映る気象庁職員の何ともいえぬ誇らしげな表情が毎年印象的だ。
まるでオリンピックの開催を宣言するIOC会長のようだ。
それはともかく、この開花宣言により、われわれ庶民は一気に花見へと頭を切り替える。

カレンダーをにらみ花見の日程、場所、場所取りの方法、料理は何にするのか、人数は? 

これが会社ごと、学校ごと、友人、家族とそれぞれ行うので、多い方は花見の席に四、五回は行かれるのではないだろうか。
かように日本人は桜好きだ。

 

その開花宣言で気になったのは桜以外の気象庁の観測動植物についてだ。

実は五十八種あるらしい。
そのうちの規定種目は二十三種で、ウメ、サクラ、ヤマハギ、ツバキ、タンポポヤマツツジノダフジアジサイ、ススキ、サルスベリイチョウ、カエデ、の植物十二種、
ヒバリ、ウグイス、ツバメ、モズの鳥類四種、
モンシロチョウ、キアゲハ、ホタル、シオカラトンボアブラゼミ、ヒグラシの昆虫六種、ほかにトノサマガエルである。

しかし桜以外で気象庁職員の発表をマスコミで見たことがない。

 

本日タンポポの花が飛び散ります宣言やホタル初発光宣言、トノサマガエルのオタマジャクシ誕生宣言などもマスコミが駆けつけたら発表があるのだろうか。
サルスベリに昇ろうとしたサルが滑り落ちました宣言…、あ、さすがにこんなのはないか。

桜の写真

桜の開花