第十六回浅草観音うら 一葉桜まつり ４月１４日（２０１８年）
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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徳川幕府開府四百年を記念して開催されるようになったお祭りである。
平成二十九年は吉原開場四百年にもあたるため、華やかな花魁道中のお練りが行われた。
ほかにも吉原狐舞、歌舞伎パフォーマンス、小学生のパレード、街角ステージ、フリーマーケットや模擬店など。
２０１８年の一葉桜まつりに出かけた。
何がお目当てかといえば花魁道中である。
この辺は日本人でありながら外国人観光客の感覚である。
しかしこのおいらん道中には何か惹かれるものがある。
なぜかというとこのイベントのタイトルが実に不思議なのである。
浅草観音うら、一葉桜まつり。
ここにはインパクトがあるのにあえて使っていない言葉がある。
それは「吉原」であり、「おいらん」である。
つまり場所を示すのが浅草観音裏と意味深なのはかつての花街である吉原の名前をあえて隠した風がある。
一葉桜という赤みの強い桜並木のある通りで花の開花時期に合わせて行うイベントで、地元の小学生のマーチングバンドや演芸があるものの客を呼べるのはおいらん道中の方が数段上だということは誰でもわかることだ。
つまり元の幕府公認の花街であった吉原は、地名を千束と変えてはいるが現在も東京最大のソープ街として脈々と花街を受け継いでいるのである。
ここが同じ花街であった玉の井と大きな違いである。
玉の井はその名とともに花街としての役割を終え、ある意味影も形もない。
花魁はいなくなったが、いわゆる現役の花街として健在のこの地で行われるおいらん道中である。
見かけだけのおいらん道中とは一味違うのではないかと期待もしたくもなるではないか。
なおかつなぜかその肝心の部分はオブラートに包んでいるのだ。
現在営業中の色街で行われることをあまり積極的にアピールできない事情があるのだろうか。
何しろ後援が台東区や東京商工会議所である。
吉原より浅草を謳ったほうが無難だと判断したのかも。
そんな気持ちを抱きながら、タイトルが示す通り、浅草の観音を通ってしばらく商店街を結構な距離を進むと会場の一葉桜小松橋通りに出た。
そこにある商店に置いてあったチラシを見て驚いた。
「第１６回 浅草観音うら一葉桜まつり」の文字はごく小さく書いてあり、大きく「江戸吉原おいらん道中」の文字と前面に敷かれたおいらん道中の写真。
つまり主催者の商店街は「こちらがメインですよ」と猛烈にアピールしており、誇りすら感じるのである。
それで肝心の花魁道中である。
見物客がまばらだったイベントの後、いよいよ始まる時間になると沿道はあっという間に黒山の人だかりである。
ケータイカメラを片手に、の人も多いが本格的な一眼レフカメラ持参の者が多い。
行列を引っ張る吉原の男衆や太鼓持ち風の男たち、少し遅れて禿（かむろ）や振り袖新造に守られるように花魁が続き、黒塗りの高下駄を廻すようにゆったりと歩く外八文字という独特の歩き方。
正直に感想を言おう。
これは本物である。
花魁に限らず男衆も含めて付け焼刃のものとは思えないその着こなしやしぐさと表情。いい加減な造りがみじんも感じられない。
いったいこの方たちは何者なのか？ 見ているものを一瞬で江戸時代の吉原に引きずり込むのである。
もちろん当時の様子は知る由もないが、ここには本物があるという確信。
見事な再現ぶりに余計な詮索はする気も起きないのである。
