梅に鶯? メジロ? 観梅会と湯島の白梅 湯島天神
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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さていよいよ梅も満開である。
浮世絵にも描かれている江戸の梅の名所といえば、亀戸天神である。
太鼓橋から池にこぼれ落ちそうな梅の木々。
梅園としての格式と作り込みの見事さでは群を抜く。
二候は「鴬啼く」である。
梅が咲けばそこに鴬がいる図を思い浮かべるのは日本人の習性である。
花札の絵しかり。
しかし、以前、東京大神宮から頂いたカレンダーを見てふと思った。
それはふた月ごとに鳥の写真が配された鳥暦で、写真は高円宮妃久子殿下がお撮りになったものである。
その表紙は梅の木に止まったメジロなのである。
なぜ鴬ではなくメジロなのか。
実は梅の木に止まって、鴬だと思っている鳥はほとんどの場合、メジロなのだそうだ。メジロは体の大きさも色も大変鴬に似ている。
比べてみるとメジロの色は鮮やかで、いわゆる鴬餅の色と同じ。
逆に鶯は色が暗めである。
決定的な違いはメジロの名前の由来にもなっている目の周りの白いラインである。
メジロは梅の木の香りに誘われてやってくる虫を捕えるために待ち構えているが、鶯は大変警戒心が強く、めったに人前に姿を現わさない鳥なのだという。
「ホーホケキョ」の声はすれども姿は見えぬ。
見えるのは食欲旺盛なメジロなのだが色も体も似ているので声の主の鴬だと思っている向きが多い、というのが真相らしい。
そのため鴬餅を含め、われわれが思っている鴬色は実はどちらかといえばメジロ色なのである。
二侯の「鴬啼く」。
たしかに声について語ってはいるが、その姿について触れてはいない。
改めて梅を見に「湯島の白梅」で有名な湯島天神(東京での梅見人気第一位。湯島天満宮)に出かけた際、やはりメジロが枝から枝に飛び回っていた。
甘酒をいただきながら眺めていると、メジロもなかなか風情があっていいものだ。
そこではてと思う。
メジロの啼き声はどんなものなのか。
しばらく聞き耳を立てていたが結局啼かないのでわからなかった。
まあいいか。
白梅だけでなく紅梅も蝋梅もよく手入れされていて見ていて気持ちがいい。
宝物殿に寄って特別展示されている屏風などに描かれた梅の日本画を見る。
帰り際、記念に白梅を透明のプラスティックに閉じ込めた絵馬型の置物を買って帰る。
その白梅を見ながらうぐいす餅を主菓子に濃茶を点てる。
にぎやかではあったが、心晴れやか「和敬清寂」な一日である。
白梅に明る夜ばかりとなりにけり 蕪村