針供養 正受院(しょうじゅいん)2月8日

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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さて、2018年に訪れたのは新宿二丁目にある浄土宗の正受院(しょうじゅいん)である。

針供養,正受院 の写真

針供養・正受院

正受院に入るとすぐ右に小さな奪衣婆尊(別名・綿のおばあさん)という宮がある。
かつて子供の虫封じや咳封じに霊験があるとして願かけに多くの人が訪れ、そのうちにお百度箱の中に折れた針や古針が納められるようになり、戦後針塚が建てられ正受院と和服裁縫組合とで針供養が行われるようになったという。

 

なるほど、大都会の中にある狭い境内であるが和服姿のご婦人方が多い。
裁縫道具を売っているテントもある。
訪れた人たちは針塚に置かれた大きな木綿豆腐に次々針を刺し、お祈りをしている。

針供養の木綿豆腐の写真

針供養の木綿豆腐

刺さずにそばに置かれている甕(かめ)に入れる方も多い。

針供養の甕塚の写真

針供養の甕塚

式次第が始まるとお寺から針供養のいわれの説明があり、まず本尊、針塚、綿のおばあさんの順に甘酒献上の儀が行われ、続いて納針の儀。

甘酒献上の写真

甘酒献上

甕に納められた針を土中に埋める行事で、夜叉王の姿を真似た二人のおじさんがお手伝いする。

納針の儀の針塚の写真

納針の儀-針塚

次に針供養の大法要。
8名の和裁生が巫女のような衣装をつけて住職らと行列し、針に感謝を奉げつつ技芸上達をお祈りするのがメインイベントだ。

針供養の花見堂行列の写真

花見堂行列
針供養の巫女の写真
針供養の巫女の写真
針供養の写真
針供養の様子

約一時間のイベントはコンパクトによく考えられていて、針供養という行事を保存しようという気概もあり、見ていてもなかなか気持ちがいい。

 

我が家でもささやかに針供養をしてみた。

よく見るとたしかに曲がっていたり錆が出ている針があった。
そんな一度も供養されたことのないかわいそうな我が家の針を豆腐に刺して三方に乗せ一礼をする。

個人宅での針供養の写真

我が家の針供養

針供養の本場、北九州市淡島神社では針祭りに参詣した方に善哉が振る舞われ、石川や富山の北陸では饅頭や大福を食べたり配ったりする風習があるという。
なるほど甘い物ならおまかせである。
私も倣って、その日は(その日も)針仕事を休んで裁縫箱を掃除し、善哉をいただくことにした。

 

 色さめし針山並ぶ供養かな 虚子