初釜
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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その年の初釜は梅ヶ丘公園の日月庵という侘びた庵(いおり)を模した茶室で行なわれた。
初釜では私はいつも黒紋付に袴姿である。
到着して待合で談笑していると亭主から声がかかり、手水を済ませてから席入りする。
正月らしい床の飾りに紅白の椿の花が掛けられている。
まずは挨拶をすませると懐石のお弁当。
おとそに八寸をいただきこれまた正月のお菓子である花びら餅を食べていったん退席する。
再び席入りして濃茶と薄茶をいただく流れは毎年同じである。
正月にしても初釜にしても、この同じというのは平穏を意味する。
今年も正月を、そして初釜を無事に迎えられたということが大事なのだ。
羽根木公園のある梅が丘は名前の通り、園内にはたくさんの梅の木があり、何本かの木は早くも花が咲いている。
早咲きの梅なのだろう。
一週間後には調布市の都立神代植物公園の早咲き品種で小さな花が特徴の白難波などが、また府中の府中市郷土の森博物館にある「蝋梅(ろうばい)の小径(こみち)」に咲く黄花の蝋梅が見ごろを迎えている。
初釜のはやくも立つる音なりけり 敦