酉の市 浅草鷲(おおとり)神社 11月1日(2018年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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11月1日は一の酉である。

酉の市とは日本武尊の命日とされる11月の酉の日に行われる関東の祭事である。
浅草の鷲(おおとり)神社、新宿の花園神社が有名。
午前零時に日付が変わり酉の日になると、太鼓が打ち鳴らされて市が始まる。

酉の市では何といっても商売繁盛の縁起物、小判や招き猫、米俵などをこれでもかと飾り付けた熊手を買い求める客でごった返す。
熊手はお金をかき集める魔法のアイテムとなっている。

 

酉の市で最も有名なのが浅草裏にある鷲神社である。
地元では「おとりさま」と呼ばれ酉の市の発祥の地ともいわれている。

前日の夜十一時から準備され、夜十二時になると本格的に酉の市の始まりである。
浅草、吉原と大繁華街を有する土地柄、商売繁盛を願って、水商売や風俗関係の客が多い。やはり一の酉は鷲神社がいい。

 

着いたのは午後4時であったが、平日だというのに参拝の列が鳥居のずっと外まで伸びている。

並んでいると、去年の熊手であろう、持ち寄られた大量の熊手がトラックに次々と摘みこまれている。
それをお祓いをしながら受け付けている。
最初の鳥居の前には一段高い場所の両脇で我々参拝客にやはりお祓いをしてくださっている。
境内の仲はすごい人出だが、花園神社のような無法地帯とはなっておらず、実に整然と皆さん動いている。

参道の両側のお店は一等地なのだろう、注文されている熊手に誇らしげに国会議員や都議会議員の名前や歌舞伎役者の名前が貼られている。

 

三十分ほど待ったころようやくお参りを済ませ、店を見て回る。

きらびやかに並べられた熊手と威勢のいい呼び声と、買い手が決まった時の三三七拍子の手拍子とお祝いの言葉、「繁盛! 繁盛!」の掛け声は気持ちがいい。
境内の外には焼きそばなどの屋台がこれまた列をなし、その数にも圧倒される。

 

「酉の市の売れ残り」という言葉があり、江戸時代酉の市でにぎわう吉原近辺で遊郭も繁盛したが、その夜でさえ売れ残る遊女、醜い遊女をこう言ったとか、酉の市の売れ残りの熊手についたお多福のこととも言う。
歩いて5分も行けば旧吉原、現在の千束4丁目で一大高級ソープ街が健在なため妙にリアルないわれである。
ひと味もふた味も違うおとりさまである。

酉の日は十二支のひとつであるから十二日後に二の酉が行われ、そのまた十二日後に三の酉が行われる。

 

風おろしくる青空や一の酉 波郷 

 

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酉の市鷲神社一の酉