風炉の名残り

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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茶堂の世界ではもうじき風炉から炉に切りかわる季節である。

風炉への名残りを惜しみ、前年11月に封を切った茶壷の茶葉が残りすくなくなる両方を惜しむ茶である。

 

茶道では旧暦の冬と春にあたる半年(十月から翌年三月、新暦では11月から翌年4月)は茶室に切った炉で茶を点てる。
寒い時期なので火元が部屋の中央にあり、見た目にも温かく感じられるのだ。

逆に夏、秋の温かい時期は移動できる風炉を部屋の隅に置き、火元を客から遠ざける気配りをしている。
エアコンのなかった時代では、こうした気配りが火を使う茶道のおもてなしには必要だったのだ。

 

などと思いながら冷凍庫に保存している抹茶の残りを確認すると、あれ?
まだ結構あるな。

というわけであわてて何杯も茶を点てたりする。
惜しむどころかこれでは在庫一掃大処分だ。
風情もあったものじゃない。
このあたりが半可通の情けないところである。

 

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風炉