盆栽村・大宮盆栽美術館

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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さいたま市には盆栽を育てている職人さんや工房が集まっており盆栽のメッカとして、世界中の盆栽ファンにとっても聖地である。

私はマンション暮らしのため、庭木といえば共有の垣根くらいの暮らしの中で、盆栽は我々でも楽しめる存在である。
我が家には侘び助椿や紅白の梅、木瓜、君子蘭などの鉢植えは十鉢ほどあるが盆栽はない。
まぁ育てるほどの知識も情熱も持ち合わせていないので当然ではあるが、それでもときどき盆栽が見たくなる。
そこで意を決して訪れてみた。

で、まあ驚いた。
さすがメッカである。

 

盆栽村のある北区土呂町にある6か所ほどの有名な盆栽園のたたずまいは私がイメージした、いわゆる植木屋さんではない。
入口から建物の風情はまるで旅館か高級料亭のようである。
ゴミひとつ落ちていない園内に整然と並べられた盆栽たちはファッションショーの出番を待っているマヌカンのようでもある。

聞けば、そこにある超高級盆栽は売り物というより、パーティーやホテル、デパート、イベントなどに貸し出す、いわばトップモデルさんたちなのだ。
もちろん我々庶民が手を出せるような値段でも大きさでもない。

職人さんたちの様子もどちらかというと芸術家っぽいというか、レストランのシェフっぽい。
造り出される盆栽も伝統的でありながら創作料理っぽい。
そうか、盆栽はそいう所へ行ってしまったのか。

 

続いて大宮盆栽美術館に行ってみる。
盆栽といえば屋外のイメージであるが、ここでは美術品として屋内に展示している。

美術館という名はだてではない。
建物も本格的美術館の作りで展示物は盆栽だけではなく、この日展示されていたのは盆栽をテーマに描かれた浮世絵である。

題して「盆栽につもる雪」。
ただの盆栽の絵ではない、盆栽に雪が積もっている絵を集めているのである。渋い!
襟を正して見なければならない感じである。
盆栽園が三ツ星レストランとすれば、美術館の盆栽は国宝クラスなのだろう。

 

さいたま市にはこうした特別な盆栽園しかないようなので、ちょっと離れた川口市に行ってみると一般イメージの植木屋さん的というか盆栽農家的な所があり、割れた鉢や枯れた盆栽などが雑然と置かれていて、なんだかほっとする。
値段も千円くらいからあり掘り出し物目当ての骨董市的でもある。

ここでようやく緊張がほぐれ心も和んだ次第である。
やっぱり庶民にはこっちだな。

 

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盆栽美術館