玉川上水と二子玉川とカルガモ

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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川つながりでもうひとつ。

 

江戸の町は井戸水がどこでもあり飲み水として生活用水として利用されていたが、時代劇に出てくる長屋でよく見る井戸は地下水ではない。

あの生活用水多摩川から水を引き入れ江戸中に迷路のように水路を張り巡らせて作った世界に誇る上水網、玉川上水である。
それを可能にしたのは玉川上水が江戸の町に至る下りの角度で全長40kmにおよんで2度の傾斜を確保できたことにある。
2度は水が滞らずに流れ続けるための最小の角度である。

 

偶然に近いとはいえ百万人の生活を維持できる水量を供給しつづけられたのは奇跡と言っていい。

大江戸の上水は玉川上水のほかに神田上水があった。
その上水路が老朽化して水質が悪化した明治時代に淀橋町浄水場を作り玉川上水から引いた水をろ過し明治二十五年から1965年まで給水した。
その広大な敷地後を利用してできたのが現在の都庁を含む西新宿高層ビル街である。

 

玉川つながりで次は二子玉川である。

駅前にあるおしゃれな複合施設二子玉ライズができた時のキャッチフレーズは「これから新しい何かが生まれ育ってほしい」だった。
自然との融合もコンセプトだが、そんな巨大ビルに2018年、カルガモの親子が現れた。
その愛らしい姿に関係者や住民は目を細めて喜んでいるという。
四十年の月日を経て「新しく生まれ育った何か」はカルガモだったわけである。

 

かわいいはかわいいのだが、私などは自然とカルガモといえば、農薬を使わないカルガモ農法を思い浮かべる。

親子カルガモは水田に集まる昆虫や小動物を食べて育ち、稲も元気に育つ。
そして稲が実り子カルガモも大きくなった頃、人間には米という主食と、おいしいカルガモ料理が待っているのである。
そうカルガモ農法のカルガモは食べられてしまうのである。

カルガモをかわいいと思う心とカルガモをおいしいと思う心。
矛盾する両方の感情を合わせ持つ人間というものの不思議である。

 

ちなみに7月31日に二子玉ライズで確認されたカルガモ親子は、散歩中の8月5日に子供たちに1時間半ほど追いかけまわされて、ついにいなくなってしまったそうである。
また、やはり7月31日に恵比寿ガーデンプレイスにもカルガモの親子が人前に姿を現した。
さてこっちはどうなる。