田毎の月
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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初夏。
旧暦四月になると、季節は夏に変わる。
夕暮れが夜に移るころ、田圃に引き入れられ、張られた水に月が浮かぶ。
どの田にも月がひとつ。
都内に残る田圃はひとつひとつが大きいためなかなかお目にかかれないが、山間(やまあい)にある農村の棚田では「田毎(たごと)の月」が幽玄の美を醸し出す。
そのすべての田に月が映し出されている絶景は、小さな田圃がひしめき合っており、山から見下ろせるからこそである。
この景色は田植えが終わるまでのつかの間の奇跡。
いつか姥捨の棚田や白米(しろよね)千枚田の「田毎の月」が知られる。
注:「姥捨の棚田(長野県千曲市)」国の重要文化的景観に選定。
「田毎の月」は国指定文化財名勝に指定。
「白米千枚田(石川県輪島市)」は国指定文化財名勝に指定、日本棚田百選、世界農業遺産登録、千四枚の田があり最少は0.2㎡。