大相撲初場所と両国めぐり

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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まだまだ正月気分が抜けない場所直前、明治神宮では正月恒例の奉納土俵入りが行われる。

平成二十九年に九州場所優勝の鶴竜、歴代最多優勝を誇る白鵬、そして日馬(はるま)富士のモンゴルが誇る三横綱が土俵入りを行った。

続いて番付が新聞などに発表されると、両国の国技館へ行く。

両国駅に飾られている優勝額

両国駅に飾られている優勝額

刷り上がったばかりの番付を買うためだ。
一枚五十五円(消費税8%込み)也。
安い。
安すぎる!

ついでに国技館のすぐそばの江戸東京博物館旧安田庭園を見物し庭園の一角にある刀剣博物館に立ち寄り国宝、重要刀剣クラスの刀を鑑賞する。

江戸東京博物館に展示されているジオラマ

江戸東京博物館に展示されているジオラマ

 

両国駅に戻って、駅に隣接した両国江戸NORENも見て回る。

中央に本格的な土俵を配しその周りを和の飲食店が取り囲み、町屋風の雰囲気を醸し出して和の町両国をアピールしている。
安っぽさのない本格的な作りなのが気分を盛り上げる。

 

相撲は好きだ。
力士や行司の所作も美しい。
歌舞伎や能などの古典芸能と同様、和の世界を伝承しているが、ちょんまげや褌まで受け継いでいるのは今や相撲しかない。
というわけで一年六場所の場所中、九十日間は午後三時から六時の間、私はテレビ桟敷から離れることはない。

 

巷間でも相撲人気は戻ってきている。

一時は八百長問題や暴力問題で騒がれたが、私の目には力士たちの真剣勝負の真摯な態度がテレビ桟敷からも痛いほど伝わってきて、手に汗握る好取組が多いからだと思う。年に三回の東京場所には一回は見に行きたい。

初日の清々しさ、中日(なかび)では優勝争いの人数が絞られ、十日目からは有力力士の星のつぶし合いが始まる。

千秋楽、立行司(たてぎょうじ)の「この一番にて、千秋楽にござりまする~」の声で盛り上がりは絶好調に達することが多い。
取組後には優勝力士のインタビューや表彰式、殊勲・敢闘・技能三賞受賞者の歓びの顔が見られる。
場所中はその日ごとに違った楽しみ方ができるのも大相撲のいいところだ。

 

行くならやはり初場所がいい。

午後早い時間から行って三段目あたりの相撲をのんびり観戦していると、茶屋や呼び出しが客席に出向き挨拶している。
挨拶された方は何やらご祝儀を渡し、そのお返しに茶屋から焼き鳥やお弁当、酒などが入った紙袋を渡す。
何人にもあいさつに来られて茶屋の紙袋が二個三個とたまっていく方もいる。

「ほほう、あれがタニマチと呼ばれる方たちなんだろうな。タニマチも大変だなぁ」などと同情してみる。

そうこうするうちに徐々に観客が増えて、それまで暗かった場内が明るくなり、いよいよ十両力士土俵入りから関取格の取り組みになる。
それが終わると、幕の内力士の土俵入り、横綱の土俵入りとなる。

幕の内前半の取り組みが終わり午後の五時頃になるといよいよ三役、大関横綱が登場する後半戦の十番がはじまる。
午後六時にはすべての取り組みが終わり、弓取式を横目で見ながら国技館を後にする。

 

我々のようなテレビ桟敷専門のタニマチは横網横綱ではない。「よこあみ」)町の由緒ある相撲茶屋で呼び出しの相撲甚句などを生で聞きながらちゃんこ鍋をいただくのが精いっぱいの贅沢だ。

ちゃんこ料理吉葉
ちゃんこ料理吉葉内にある土俵
ちゃんこ料理吉葉・店内の土俵

吉葉・相撲甚句

吉葉・相撲甚句

体が温まるちゃんこ鍋、そして熱燗が合うのは、やはり寒い初場所ならではのお楽しみである。

吉葉のちゃんこ鍋

吉葉のちゃんこ鍋