除夜の鐘撞きと初詣

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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寺院において大晦日の夜に百八の煩悩を除くために鐘を撞(つ)いて新年を迎える行事が除夜の鐘である。

 

百八の煩悩の数は単にたくさんの数という意味や、四苦八苦の言葉に込められた苦しみの数、四苦4×9=36と八苦の8×9=72を足した数が108になることや、1年12カ月、24節気、72侯の三つを足した数12+24+72=108になるなど説はさまざまあるようだ。

ただ除夜の鐘に撞かれる数は必ずしも百八ではなく、ところによっては二百回以上撞かれることから、やはり「百八くらい、百八以上、たくさん」の意味合いの方が強いようだ。

 

取り除きたいのは大きく分けて欲望、怒り、無知の三種。
僧侶たちは修行によってこの三種を克服して涅槃(ねはん)に入ることを目的とするが、私のような俗の中で生きることに楽しみを見出す者には無縁の世界である。
であるからこそ、毎年性懲りもなく同じ大晦日を迎える。

 

除夜の鐘は聞くものではなく撞きに行くのが我が家の大事な大晦日の行事である。

ありがたいことに、家の近くのお寺さんが檀家でもないのにただで除夜の鐘を撞かせてくれるのである。
そのために早めに行って整理券をもらう。
本堂で順番を待ち、お坊さんの読経の間に両手を合わせながら鐘の周りを一周してから撞く。

除夜の鐘

除夜の鐘

ゴ~ン! 強すぎても弱すぎてもいけない。
一年を占うように撞く。
うん、いい音。
いい年になりそうだ。
帰り際にミカンまで頂く。

 

ミカンを食べながら帰りにはお寺さんの前の細い道を隔ててほぼ向かいにある氷川神社へ初詣に行く。

氷川神社

氷川神社

この氷川神社というのは関東の人間にとってはなじみ深いがかなり地方に特化した神様のようで、首都圏近郊に集中していて二百か所ほどしかないらしい。
おそらく西日本の方は名前すら聞いたことがない方が多いと思う。

 

ともあれ、除夜の鐘のあとに神社で初詣するのを罰当たりと思うのは明治以降の話。
江戸時代までの長い間、日本は神仏習合が当たり前の世界である。
並んでお参りして今度は甘酒をいただいた。

ミシュランが知ったらこのコースに星★★★付けるに違いない。
そんなことになったら人が押し寄せて大変だから場所は教えない。
皆さんの近くにも探せばこんな素敵な寺社があるはずである。

 

 除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり 澄雄