しながわ宿場まつり 9月28日(2019年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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東海道五十三次日本橋から出発すると最初の宿場町が品川宿である。

その品川宿であった一帯を街ごと江戸のお祭りにしようと試みているのがこのイベントである。

 

江戸を出てすぐの品川ではこれから旅をする男たちが「旅の恥はかき捨て」とばかりに遊女遊びをした。
そのため北の吉原、南の品川とまで言われたとか。
その縁で「おいらん道中」が行われる。

この花魁道中は公募制で花魁役は五万円、新造役は三万円、禿(かむろ)役は一万円の参加費用がかかる。
もらえるのではなく払うのである。
さて品川宿には化け猫遊女の伝説もあり、それをモチーフにした本祭のマスコット「おいにゃん」がゆるキャラとして登場する。

 

通りには辻落語まで登場。
物売りに車引きはもちろん江戸時代仕様である。
品川小唄、全国物産展や屋台、ライブはかなり盛りだくさん、あと参加者へのプレゼントが多いイベントである。
ところが2018年の9月29日は台風が接近しつつあり、雨もひどくなってきたため江戸風俗行列と「おいらん道中」は急きょ中止。
花魁たちは場所を移して「顔見せ」のみとなった。
これだから野外イベントは気が抜けない。

 

で、翌年懲りずに行ってみた。
予報は雨だったが、当日は天候に恵まれ、去年の分もとばかり花魁役の女性が女子大生からお母さんまで五人、禿役の少女が十人の大盤振る舞いである。
驚いたのは白髪老紳士のアマチュアカメラマンの多いこと! 

 

道を埋め尽くした観光客の視線を浴びながら、花魁役の女性たちは慣れない衣装と高下駄で必死の外八文字のお練りを二時間こなす。
着物が十数キログラム、下駄がひとつ二キログラム、かつらが四キログラムという大変な重量である。
しかしおそらく人生でもこれだけの注目を浴びることはめったにないはずで、皆さんの瞳はらんらんと輝いているのだ。
まさに晴れ舞台という感じ。
出演料は決して高くはないかも。

 

そんな花魁道中を見ながら、鹿肉と猪肉のジビエ串を肴にかつてのお大臣の芸者遊びを思う。

「前に酒、両脇に女性、背中に柱」というのが男の幸せという時代があった。
柱はなく、立ち飲みだが。
時代も意識も変わったが、女性が華やかな着物を着たいという思いは昔も今も変わらないようである。

ジビエ串

ジビエ

しながわ宿場まつりの花魁

しながわ宿場まつり 花魁1

しながわ宿場まつりの花魁

しながわ宿場まつり 花魁2