入梅 6月11日(2017年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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さて梅雨入りである。

 

この頃から7月の夏休み前くらいが梅雨の季節である。
昔から6月の風景は雨に雨傘雨靴雨合羽、アマガエルにかたつむりに紫陽花が風物詩となっている。

 

雨は降っているがどこかのどか。

農作物に必要な恵みの雨でもあるから「あめあめふれふれ母さんが…」と唱歌のひとつも出ようものだが、近年の雨は様子が違う。
いったん降り出したらダムを溢れさせ、山を崩し、川を氾濫させる。
まるで怒り狂った水神の仕業である。

東京でも前触れもなくどしゃ降りになるゲリラ豪雨ゲリラ雷雨がまたたくまに下水を溢れさせ、アスファルトの道路は川と化す。
傘など吹き飛ばされ骨が折れ役に立たない。
地面からの跳ね返り雨で下半身はずぶぬれであるから、風情もあったものではない。
まるで雨季の東南アジアのジャングルにいるかのようである。

 

日本は動物にしろ植物にしろ昆虫にしろ気候もおとなしめで奇っ怪過激強烈毒々しさなどの言葉がそぐわないものがほとんどである。

その清廉さが人々を物静かな行動にさせ自然への優しいまなざしが風雅の文化を生む土台となっていたのである。
それがバケツの底が抜けたような、天の底が抜けたような雨にはまなざしを向けるどころか逃げるしかない。
これが続くようなら、日本人の感性もずいぶん変わってしまうかもしれない。

暑さとともにこのまま夏は恐ろしい季節になってしまうのか。

 

 梅雨ふかし猪口にうきたる泡ひとつ 万太郎