牡丹と西新井大師

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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牡丹見物には上野東照宮「ぼたん苑」の牡丹祭、東長谷寺下落合の薬王院、別名を牡丹寺がある。

 

今回は牡丹と芍薬(しゃくやく)見物に西新井大師(足立区)へ行く。

西新井大師の写真

西新井大師

西新井大師の塩地蔵の写真

塩地蔵

西新井大師の手水舎の写真

手水舎


西新井大師は正式には五智山遍照院總持寺(ごちさん へんじょういん そうじじ)といい、弘法大師縁の真言宗豊山派の寺院で、古くから関東の高野山と呼ばれている。

川崎大師(神奈川県川崎市)、観福寺大師堂(千葉県香取市)とともに空海を祀る関東厄除け三大師のひとつだが、東京にあるのは西新井大師だけである。
ほかに関東三大師と呼ばれる佐野厄除け大師(栃木県佐野市)、青柳大師(群馬県前橋市)、川越大師(埼玉県川越市)というものがあるが、同じ大師でも弘法大師空海ではなく、厄除け大師と呼ばれる三元大師・良源を祀る寺で全く別物である。

意味合いからすると、厄除け大師を祀る関東の三大師が関東の厄除け三大師にふさわしく、関東厄除け三大師のほうが関東三大師っぽい。
あ、かえって混乱させてしまった。失礼。

さて西新井大師に話を戻すと、本堂の西に空海が掘ったといわれる井戸があるため西新井大師の名で呼ばれている。

境内には牡丹園があり、白、紫、紅、黄色とさまざまな色や種類の牡丹が咲き誇る。

西新井大師の牡丹の写真

西新井大師の牡丹

西新井大師の牡丹の写真

西新井大師の牡丹の写真

西新井大師の牡丹の写真


連なって芍薬も見ごろを迎えているが、パッと見には区別がつき難い。

西新井大師の芍薬の写真

西新井大師芍薬

「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

どちらも和花にしては珍しく大ぶりで派手な花である。
牡丹は花の王と、芍薬は花の宰相と言われるのもうなずける。
また漢方では芍薬の根は乾かして鎮痛薬になるという。

 

牡丹は花札の図柄や高倉健主演の東映任侠映画「昭和任侠伝」、いわゆる唐獅子牡丹シリーズや、藤純子(現・富司純子)主演の「緋牡丹博徒」シリーズで健さんやお竜さんの刺青でおなじみのため、ヤクザなイメージが強く、あまり好ましく思っていなかったが、別に牡丹に罪があるわけもなく、ただただ見とれる艶やかさである。

 

ちなみにボタン肉といえば猪肉のことですが、なぜボタンというのか? これも花札に関係していて、「唐獅子に牡丹」の図の獅子(しし)を猪(いのしし)に掛け、イノシシに牡丹、果てにイノシシ=ボタンとなった。
と、まぁ何とも強引な気が。

牡丹繋がりで、両国の「ももんじ屋」でボタン鍋を食べて、食後のお茶受けにぼたん餅(ぼたもち)でも食べようか。

 

 牡丹散りてうちかさなりぬ二三片 蕪村

 芍薬や枕の下の銭減りゆく 波郷