第九回 國學院大學観月祭 10月20日(2018年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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観月会繋がりで日にちは少し前倒しして記事をアップさせていただく。

毎年國學院大學で行われる観月会である。
神道文化学部を持つ国学院大学神職を目指す学生が多い。
そのため観月会の祭事である雅楽巫女舞などの神事を学生が行う。

 

私は2018年に初めて知った行事である。
初めて行く行事は勝手がわからずに失敗することが少なからずあるので、今回は整理券を配布するという午後2時に会場へ行く。

渋谷駅から15分のはずが出口を間違えてうろうろしていたら、三十分近くかかってしまい、二時を十分ほど過ぎた。
整理券を配っている風も見えないので聞くと、もう配り終えたとのこと。
数百人分の正面椅子席券が十分でなくなっていた。
なんとまぁ大変な人気である。
これだから初めて行くイベントはあなどれない。
つまり私は立ち見確定である。
開場は三時半だという。

 

それまでの時間、大学キャンパスを見て過ごすしかない。
物産店やダンス部のパフォーマンス、吹奏楽の演奏などが同時に行われているため、さほど退屈することはない。
校内にある神社にお参りすると、神道学科らしき学生がおみくじを引かせてくださった。
そうこうしているうちに時間も経ち開演となった。

 

観月祭であるから月見同様作物などや月見団子、御神酒、里芋、栗、柿、梨などをお供えする。

なぜ仲秋の名月ではなくこの時期の観月祭なのかと考え、一日早いが十三夜のお祭りなのだろうと勝手に解釈していたが、祝詞(のりと)の中にそれらしき言葉がなく、パンフレットによると奉祝御即位三十年、自然災害復興祈願なのだそうだ。
月の「つ」の字もない。

改めて会場から空を見上げても屋外なのだが空は見えない。
月はどこ? 

 

祭壇は本来月の見えるところに設置されるはずなのだが、校舎の壁の前である。

???と疑問は多いが、ともかく祭事は終わり、皆さんお目当ての雅楽、舞の奉納である。
まず会場にしつらえられた舞台に上がったのは雅楽の方々。
お揃いの平安の衣装に身を包み、おごそかな演奏の披露である。
まぁ驚いたのは人数の多さである。
太鼓、金(かね)太鼓、笙、縦笛、横笛など総勢四十人ぽどである。
何とまぁ贅沢なことか。

 

続いては祭事舞である。
演目は「浦安の舞」と「豊栄舞」である。
神社などで見る巫女舞はふたりで舞うことが多いが、ここでは四人で舞うのでこちらもまた豪華である。
衣装もなかなか凝っているし、木の扇もいい。

 

最後は舞楽である。
雅楽のメンバーに箏(こと)が加えられ、舞台の下に並んで座り、演奏に合わせて舞台で舞人が中国の故事に習った儀式的要素の強い舞を披露した。

 

素朴な観月会もいいが、こうした本格的な宮中行事のような祭事に接すると、日本人と月の関係がまたひとつ見えてくる。

途中すごいどしゃ降りになったこともあって、観月会であったかどうかは別にして神職を目指す学生さんたちにとっては有意義な時間、いい勉強だろう。
渋谷の街の一角が平安に変わったひとときである。

 

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國學院大學観月祭1

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國學院大學観月祭2