初午(はつうま)と日本橋七福神めぐり 2月12日(2017年)
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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平成二十九年2月12日は初午である。
本来立春から数えて旧暦二月初めの午の日の祭事として、伏見稲荷神社を本社とする全国の稲荷社で絵馬奉納・初午太鼓など五穀豊饒の大神である稲荷に祈る祭事が行われる。
転じて商業地域では商売繁盛を祈ることが多いようだ。
関東では日本三大稲荷に数えられる茨城県の笠間稲荷神社が知られているが、日本橋に東京別社がある。
二月(新暦3月)の初午の時期は、万物動き始めるころであるところから事始め仕事始めの日とされ、江戸時代にはこの日から寺子屋に子供を通わせたそうだ。
また豊作祈念のため、農家で盛んに行った行事でもある。
富山や奈良では子供たちが囃し歌に合わせて踊って各家庭を回り、お菓子などをもらうハロウインのような風習があるという。
幼子が寒空の中をはしゃぐ姿はこの世ならぬ精霊のようだと、崇め大事にしている様子が分かる。
この日は木耳(きくらげ)や干瓢(かんぴょう)を刻んで混ぜて詰めた稲荷寿司を食べる「初午いなり」の風習があり、いかにも稲荷社の祭事らしい。
狐の好物が油揚げであることと、稲荷寿司の形が米俵に似ており、五穀豊穣を祈る供物になったようだ。
というわけで日本橋の笠間稲荷神社東京別社に出かけた。
人形町にある大変こじんまりした神社である。
初午とあってコアなファンが集まっている。
甘酒を振る舞い、参拝者に祈祷が捧げられている。
初午に奉納する絵馬はもちろん馬の絵柄。
手描きの物は貴重で伝統職人は今やひとりかふたりと言う。
ここは日本橋七福神の中の寿老神としても知られるため、こちらを出発点にもうひとつの目的である日本橋の七福神巡りをする。
日本橋七福神は珍しく七神全てが神社であるのが特徴だ。
たいていは寺社混合である。
さて、私にとって初七福神めぐりである。
まず笠間神社と七福神の寿老神の御朱印をいただいたのだが、その場で書いていただくのではなく、書き置きしてあるものなので日付が入っていない。
う~ん。
と思ったものの、仕方がない。
続いて末廣神社(毘沙門天)→松嶋神社(大鳥神社・大国天)→水天宮(弁財天)→茶の木神社(布袋尊)→小網神社(福禄寿・弁財天)→椙(すぎ)森神社(恵比寿)と巡り、御朱印もいただく。
ほとんどがほんとに小さな神社で茶の木神社にいたっては無人である。
ここではその名の通り茶の木が植えられているので茶人にとっては要チェック。
その茶の木神社の御朱印は松嶋神社に置かれてあり、そちらで一緒にいただいた。
回ったなかで一番大きな神社が水天宮である。
全国にある水天宮の総本山というか、神社の場合本社と言うべきか。
超近代的な建物の二階広場に水天宮と弁財天が祀られているとても新しいぴかぴかの神社。
御朱印もエレベーターで3階へ昇っていただくのだが、なぜか弁財天と筆書きしてもらえない。
朱印に日付のみである。
う~ん。
ちょっと ラフ過ぎる気が…。
これも近代的なシステムの一環なのか?
七福神すべて回って約二時間で終了。
このコンパクトさも売りのひとつだ。
寒い時期なので帰りに人形町の今半ですき焼きという手もあるが、ここは我慢。
家に戻ってから稲荷寿司を作り、お事汁という事始めにちなんだ、人参、牛蒡、こんにゃく、小豆、焼き豆腐の入ったみそ汁を初めて作ってみた。
う~ん、初めてなのであまりうまくいかない。
まぁ、縁起ものだから良しとしようか。
食事の後は日本橋の老舗和菓子屋さんで買った椿餅を食べ、初午の茶を点てて、祭礼に合す。
地方によっては二の午三の午で行うところもあるようだ。
初午祭は王子稲荷神社でも行われる。
こちらは火事の多かった江戸で火事除けになるとされる凧市も注目。
凧は風を切るということで縁起を担ぎ、江戸時代から続いている。
凧は揚げる用ではなくほとんどが飾り用だが種類が多い。
凧市は二の午でも開かれる。
初午や煮しめてうまき焼き豆腐 万太郎