桃園の誓い
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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桃の花が満開に咲く庭で、三人の男が杯を掲げて義兄弟の契りを結ぶ。
「我ら生まれた時は違えども、願わくば同年同月同日に死なん」
三人とは劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳、「三国志」でおなじみのメンバーである。
三人は劉備二十八歳、関羽二十七歳、張飛二十一歳だったという。
三人は生涯変わらぬ友情を持ち続けた。
無名の浪人であった三人が志をひとつにして夢に突き進み中国を三分する国家のひとつ蜀を建国する。
しかし中国統一という目標を前に、志半ばのまま、死んでいく。
男は篤い友情にあこがれる。
多くの男たちは年老いてかつての友情が薄らぎ消えてしまうことを経験する。
だからこそ死ぬまで続く友情を持ち続けた男たちの姿に羨望する。
あこがれであり嫉妬でもある。
千八百年前の中国で躍動した義兄弟という三本の矢の物語は今でも我々を魅了してやまない。
その冒険の旅はすべて桃園の誓いから始まったのである。
綿
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
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綿の花が開く侯である。
綿の用途は広い。
綿布は下着から靴下、着物、帯、ズボン、ジーンズ、シャツといったすべての衣類、すべての布製品、さらしや包帯、麺棒、紐、魚網、シーツや布団のカバーと中に入れる「わた」などである。
綿が登場する前は、麻や木の皮の繊維を裂いて糸にして布に織るか蚕の繭から得た絹織物であり、動物の皮をなめして布の代わりにしていた。
麻などに比べて柔らかく水気を吸いとり、かつ温かいという綿布は圧倒的に用途が広がった万能の植物の登場だったのである。
ちなみに「わた」とは枕などの詰めもの全般を指し材料は問わない。
真綿(まわた)という名前から綿のことだと誤解していたが、蚕の繭から採れた「わた」のことでだそうある。
いやお恥ずかしい。
日本ではおもに中国や朝鮮からの輸入に頼っていたが、十六世紀には綿花栽培が一般的になった。
ヨーロッパではそれまで羊毛が主体であったため、初めて綿花を見た人々は「インドには羊の生る木がある!」と驚いたという。
その後、綿織物が盛んであったインドを植民地化したイギリスはインドの綿を輸入して紡績工場を作り大量の綿製品を生み出し、世界中に輸出しそれまで主要織物であった羊毛製品を圧倒する。
産業革命の始まりである。
アメリカも南部において綿花の栽培に力を入れ、生産、のちイギリスを抜いて輸出世界一となる。
キング・オブ・コットンの座はもちろん奴隷にされたアフリカ人たちの犠牲によってもたらされたものである。
日本でも綿布製品に国を挙げて力を入れたため、1930年代は綿布の輸出が世界一になる。
戦後一時ふたたび世界一になるがその後は安いアジア産の綿布に押され衰退。
追い打ちをかけたのは化学繊維の台頭である。
1920年代のアセテート繊維、1930年代のナイロン繊維、1940年代のアクリル繊維と次々と合成繊維が開発され、決定的に木綿に打撃を与えたのは1950年代に入って開発されたポリエステル繊維の登場である。
このポリエステル繊維によって、日本の主要輸出産業であった綿布と絹は完全に衰退することになる。
現在は個人栽培がわずかにあるにしても自給率はなんと0%である。
今となっては床の間に飾る愛すべき花のひとつになっているが、そんな歴史と人間の欲望を綿花は静かに物語る。
清瀬ひまわりフェスティバル
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向日葵はいい。
清瀬市にある2万4千平方メートルの農地に一面黄色に広がる十万本の向日葵が見ごろだ。
改めて見に行くと、向日葵って本当にみんな同じ方向を向いているなぁ。
なんて当たり前のことを再確認して妙に感心してしまう。
そして人の背より高い向日葵に囲まれてしばし現実を忘れる。
向日葵畑の中を歩いて行くとやがて一軒の家が見えてくる。
若い女が洗濯物を干している姿が見える。
ふと私の横を見ると、中年の女性が哀しみをこらえて立っている。
彼女は若い女を見つめている。
若い女もそれに気付き、二人の目が合う。
若い女性は一目見てすべてを理解する。
彼女は自分の夫の元妻であることを。
いやいやこれは妄想である。
これではイタリア映画「ひまわり」ではないか。
中年女性はソフィア・ローレン、若い女はリュドミラ・サベーリエワである。
そんなことを想起させる向日葵畑である。
会場では野菜や切り花の販売や写真コンテスト、ポリネシアンダンスショーなどのイベントや向日葵のプレゼントもあるが、数量限定。
見ごろは8月いっぱい。
向日葵から採れる油はサンフラワー油。
紅花から採れるサフラワー油と名前が似ていて混同しやすい。
帰ってきていただいた向日葵を花瓶に活ける。
うん、今度はゴッホの「ひまわり」になった。
どうも向日葵は私の中ではまだまだ日本に根付いていないようである。
ほうれん・牛車 亀戸天神例大祭 8月21日(2018年)
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鳳輦(ほうれん)は、「屋根に鳳凰の飾りのある天子の車」を意味する言葉で、日本においては、古くから天皇の正式な乗り物を意味するほか、現代では神社の祭りなどに使われる、鳳凰の飾りがある神輿を意味する。
そのほうれんが亀戸天神の四年に一度の大祭が行われる年に牛車に曳かれて氏子の地域を回り渡御する。
また白馬に引かれた馬車も通るのでこちらも注目。
本祭の中間年(こちらも四年に一度)の祭りでは本社神輿の渡御が行われる。
見どころは何といっても四年に一度しか見られない牛車の行列である。
定家忌 8月20日
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鎌倉時代初期の歌人・公家・権中納言であった藤原定家の命日である。
勅撰集に「新古今和歌集」「新勅撰和歌集」「小倉百人一首」がある。
百人一首で定家の作は「来ぬ人を まつほの浦の夕凪に 焼くや藻塩の 身もこがれつつ」である。
人麻呂、貫之と並ぶ三大歌人であり歌聖、美の使徒、美の鬼、巧緻、難解、唯美主義、夢幻的、官能、妖艶、恋歌の魔術師など定家を賛美形容する言葉は多い。
病弱だが歌に関しては意見を曲げずに頑固であった。
書家としても有名で法性寺流の書から定家流を生み、定家仮名遣いを生んだ。
世阿弥、小堀遠州、松尾芭蕉、三島由紀夫らが尊崇していたことでも知られる。
生涯書き続けた日記「明月記」は国宝である。
公家百三十六家のひとつで現代も続く冷泉(れいぜい)家は藤原定家の子孫にあたる。
1241年八月二十日没。
享年八十歳。
京都市相国寺に墓があり法要が営まれる。
京都五山送り火 8月16日(2018年)
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午後八時、東山如意ヶ岳で「大」の文字が点火されると、その後五分おきに「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居型」に火が灯された。
2018年は大阪北部地震と西日本豪雨の犠牲者を追悼した。
盆火 8月16日(2018年)
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家の前で薪を焚き、柳の枝に刺した饅頭をあぶって食べる風習で、初日に焚く火が迎え火となり、お盆の最後に焚く火は送り火となる。
閖上(ゆりあげ)地区は東日本大震災で津波の被害を受けた。
2018年秋からかさ上げ工事が始まり立ち入り禁止になる。
そのため同地区での盆火は2018年が最後になる予定である。