菖蒲・花菖蒲・アヤメ・アイリス・杜若
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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ツツジ、サツキ問題は全体的にどっちでもいい的なノリがあるが、もっと深刻なのが、菖蒲(しょうぶ)、花菖蒲(はなしょうぶ)、菖蒲(あやめ)、アイリス、杜若(かきつばた)問題である。
恥ずかしながら(こればっかり)、私は端午の節句に湯船に浮かべ菖蒲湯に使う菖蒲が時を経て花を咲かせたものが花菖蒲だと信じていた。
しかし全く別の植物と知って驚愕するほかなかった。
湯に浮かべる菖蒲はショウブ科(以前はサトイモ科に分類)、花菖蒲はアヤメ科。
似ても似つかぬ別種である。
当然菖蒲からあの艶やかな花菖蒲は咲かない。
ではなぜこんな紛らわしいネーミングなのか?
菖蒲の葉に似た葉を持つ花だから花菖蒲。
これが命名の本当の理由だとしたら、こんないい加減なことがまかり通っていいのだろうか?
ややこしいし。
しかも私は菖蒲と花菖蒲に加えアヤメもアイリスも同じ植物だと思っていたのである。
花菖蒲もアヤメもアイリスも同じアヤメ科である。
花菖蒲が菖蒲と同様水辺を好み、菖蒲田と呼ばれ田圃のような所で育てられるのに対し、アヤメやアイリスは普通に土で育つ。
アヤメはアイリスや花菖蒲に比べ背が低く花も小さい。
アヤメは和花でアイリスは洋花。
「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」
よく似た美人を比べる例えに引用されるが、この杜若もアヤメ科の和花。
名前は別物だが花はよく似ている。
花菖蒲同様菖蒲田で育つ。
開花時期で分けるなら、4月下旬からショウブ、5月上旬からアヤメ・アイリス、5月中旬からがカキツバタ、5月下旬からがハナショウブとなるようだ。
ハナショウブ、アヤメ、アイリス、カキツバタ、似てはいても別種であることを主張するように花言葉はそれぞれ違う。
しかし、なぜ同じ菖蒲と書いてショウブとアヤメという全く別の読みの名前があるのか?
音訓読み以前に名前はひとつのはずである。
菖蒲をアヤメと読ませるのなら花菖蒲はハナアヤメと読むほうがまだ混乱しないと思うのだが?
すると、万葉集に次のような歌があった。
ほととぎす今来鳴き初む菖蒲草かづらくまでに離るる日あらめや
この場合の菖蒲草はショウブのことだが、「あやめぐさ」と読む。
なーんだ。
私に限らず日本人は千年も前から混乱していたのだ。
しかしなぜショウブ、アヤメ問題は混乱しやすいように、いや混乱させるように長い年月を重ねてきたのか。
理解不能である。
あ、もしかして、これもどうでもいいことだから?