炉塞ぎ
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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お茶の世界では旧暦三月、春の終わりとともに炉塞ぎとなる。
炉の点前での最後に用いる釜は空飛ぶ円盤のような形をした羽根付き釜。
釜に羽根のように縁がめぐらしてあり、五徳を外して炉の縁に羽根をかけて湯を沸かす。
そうすることで炉の火が見えず暑苦しさが軽減されるからだ。
晩春ならではの工夫である。
茶室には畳の一部を切って釜をかける炉を作っているのだが、暑くなる夏が来るのを機に炉の部分に小さな畳で蓋をし、あるいは炉の切ってある畳を一畳ごと替える。
そして夏、秋用の風炉に切り替える。
炉に比べて風炉の方が小さく、炭の量も少ない。
暖かい季節に湯を沸かすのには十分なのである。
一般的に風炉と上に乗せる釜の間には隙間が生じて火が見えるが、それも暑苦しいと感じるなら、切り合わせと言って風炉と釜に隙間がなく、一体型になるものを用いる。
また炉は部屋に一度切ってしまうと移動ができないが、風炉は移動が自由自在である。
そんな身軽さも夏秋の茶には向いているのだ。
とはいえ炉とは半年間のお別れである。
点前も炉と風炉では違ってくる。
ここはお点前の復習も兼ねてじっくりと時間をかけて点ててみる。
茶碗は平茶碗を使ってみる。
薄茶を飲みながら考える。
そうそう着物も単衣を出さなきゃな。