桜吹雪

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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桜の花の咲く時期は春風や雨によって花が吹き飛ばされる。

 

大変残念に思う反面、その桜吹雪の見事さはこれまた筆舌に尽くしがたく美しい。
川面や街路を埋め尽くす淡いピンクの絨毯はそのはかなさと潔さを合わせ持つため、よく武士の生き様にたとえられる。

花筏(はないかだ)の写真

花筏(はないかだ)

神田川に浮かぶ桜の花びらの写真

神田川に浮かぶ桜の花びら

桜吹雪の写真

街路を埋め尽くす桜吹雪

かつてはケータイがなく電話の普及もほんの一部だった頃まで、受験生は電報で合否を家族に伝えた。

電報は一文字いくらだからなるべく短いほうがいい。
文面の多くは次の二種類である。

 

サクラサク

「サクラチル」

 

3月後半の受験生の悲喜こもごもが桜に託されていた。
嬉しいサクと哀しいチル。
桜はその両方を合わせ持つ。
どちらにしても桜の花の命は短く、散り際に凄みさえ感じる。
そのためか、桜を辞世の句に盛り込む者は多い。

 

 風さそう花よりもなをわれはまた春の名残りをいかにとやせん  浅野匠守

 ちりぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ   細川ガラシャ

 

単に花といえば桜を指す。

日本人にとって桜は花の中の花なのである。

桜は日本の国花であるにもかかわらず、死のイメージが強いからか武家の紋所では一部の確信犯的な家系以外、まず見ない。