いちご狩り

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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いちごの旬はいつなのか。

いちごの写真

子供の頃、家の庭の片隅にイチゴが植えられていた。
3月末から4月にかけて小さな実がなり、まだ半分白いいちごだったが待ち切れずに摘んで食べた記憶がある。

しかし今はビニールハウスで大切に育てられている。
いちごはショートケーキやタルトなどのデザートの定番だから一年中需要があるため旬というものがなくなった食物のひとつだ。

 

何でもいちごの消費のおよそ四割が12月なのだそうだ。
そう、クリスマスケーキである。
そのため、生産者は10月から出荷を始めピークを12月に持ってきて4月までが生産期間で全体の95%を占めるという。

5月から8月までは露地物が中心になるが、生産量は5~9月の半年で全体の5%にしかならない。
しかも9月にいたっては収穫がほとんどなく、生鮮イチゴのほとんどが輸入に頼っているのだそうだ。

そのような事情で、クリスマスが終わった後にもいちごはたくさんあるわけで、1月からはいちご狩りのツアーが目白押しとなるのだ。

 

私はビニールハウスでいちご狩りをするというのはどうも気が進まないので、一度も行ったことがない。
クリスマスケーキのイチゴは大好きだが、いちごだけを食するのはやはり陽気が温かくなる3月以降にしたい。

旬がなくなったイチゴとはいえ、温かくなればビニールハウスの暖房費が抑えられるためか、値段も下がってくる。
露地物も出回りようやくいちごの季節を感じられるというわけである。

 

日本の農産物はブランド化高級化している。
ブランド牛やブランド鶏に始まりブランドマグロにブランドサバ、ひと房が二万円もする超高級葡萄しかり、いちごもひと粒千円するものがあるようだ。

私などは畏れ多くて手が出ないので、年に一、二回、1パック398円になったころひと粒ひと粒味わうのが楽しみなのだが。

 

いちごというのは千年以上前から日本の文献に登場するが、そのいちごは木イチゴであって、現在我々が食しているオランダイチゴとは全然違う。

どうもいちごは日本で歴史もなじみのある食材のわりにケーキのイメージから洋風の食べ物の印象が強い。
どこか帰化していないというか、なんでも和風に消化してきた日本人らしくない、珍しい食べ物である。
せいぜいイチゴ大福くらいか。

ラーメンやカレー、餃子まで日本の食文化にしてしまった日本人であるが、いちごはなかなか手ごわい相手である。