高田馬場流鏑馬 10月10日(2016年)

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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毎年10月10日の体育の日には様々なスポーツイベントが開かれる。

なぜ10月10日にスポーツなのかというと、その昔アジアで初めてのオリンピックが東京で開かれ、その開会式の日が10月10日であったからである。
思い出せばそうなのだが、これこそ一周回って知らない話になってしまった感がある。

 

その体育の日に毎年行われるのが穴八幡奉納の高田馬場流鏑馬だ。
新宿戸山公園で選ばれた五人の射手が古式ゆかしい装束に身を纏い、ひとりずつ馬を駆けながら三つの的(四角の杉の薄板)を射抜いて行く。

見ていると、最初の的は射抜けるが、二番目、三番目と進むにつれて的に当たる確率が減っていく。
馬が早すぎると、矢を継ぐのが間に合わず、遅ければ的には当たるが迫力がなくなる。
頃合いが難しそうだ。
なかなか三つとも命中するのは難しい。
これまで二回見物したが、成功者はひとりだけである。
成功すると会場中央に進み出て褒美を受ける。

 

武道はだいたいそうだが、一年の稽古があってその成果の大会では一発勝負が基本である。
失敗しても負けても泣き言は言わない。
負けた者は己の修行が足りないと考える。
「勝って驕らず、負けて腐らず」の精神である。
そういった意味で武道は自分との闘いなのである。
一瞬に己の技前と精神力のすべてを傾ける。
流鏑馬の三本の的を射抜くことに成功した男の顔に笑顔はない。
やりきったという安堵である。

 

正式行事は五人の射手の演武だが、他にも次の正射手を目指す兵(つわもの)たちの演武も披露される。
年若い少年の姿もあり、将来頼もしい限りである。

 

すべての流鏑馬が終わると、装束のまま馬に乗って警官に先導されてゆっくりと穴八幡に行き、流鏑馬の儀式が終わったことを報告する。
私を含め多くの観客が一緒についてゆき、最後は記念写真を一緒に撮っていた。
流鏑馬をやっておられる方は装束を含め実にかっこいい。

 

かつてこのような伝統行事は高年齢化で後を継ぐ者がいないと心配されていたが、長年の努力の結果と、近年の和ブーム、余暇の過ごし方の変化によって、こうした伝統文化に参加する若者たちが増えている気がする。

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高田馬場流鏑馬

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高田馬場流鏑馬