菜の花
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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。
本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。
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東京でも菜の花が満開である。
しかも旧江戸の中心部で見られる場所というと、なんと浜離宮恩賜公園である。
もちろん温室なんかではない。
寒空のもと黄色の花畑が楽しめるのは大都市東京では奇跡と言っていい。
ひと坪数百万円する土地に、見物するだけの菜の花畑を作り管理維持できるのは、東京都が潤沢な予算を持っているからだ。
ところで私は菜の花というのは勝手に菜種油を採るために植えられたアブラナの花とばかり思っていたが、どうもそれだけではないらしい。
菜の花とは単に野菜に咲く花のことで特定の植物を指しているわけではないとのことで、正直不勉強を恥じた。
アブラナを筆頭に京野菜や小松菜、アスパラやチンゲン菜も咲いた花は菜の花というわけだ。
ここにあげた菜の花はすべて黄色の花をつける。
その中でも、花を食用にするものに限り菜花(なばな)というらしい。
スーパーで見かける菜花は食用の花を選んで売っているというわけだ。
たしかに秋に売られる食用菊もすべての菊が食べられるわけではないだろうから、こちらも同様。
そういえば食用菊も黄色くて菜花っぽい。
同じく食用の金魚草も黄色が多い。
食用の花は黄色が多いのか? だからといって野菜の花は全てが黄色ではない。
私の乏しい記憶では大根の花は白い。
単純に菜の花といえば黄色の花のようなので、白花をつける野菜は菜の花とは言いづらいのでは、と思ったら、白花の場合はわざわざ「白い菜の花」と断わりを付けるようだ。
2月の項に菜の花のことを書くと、俳句の方々に怒られるかも。
なんでも菜の花は三月、晩春の季語、つまり新暦4月を指すからだ。
そうはいっても咲いている物は仕方がない。
スーパーにはとっくに棚に並んでいる菜花である。
私の好みは花はおひたしや料理の彩りに、茎や芽は塩ゆでにする。
肉やキノコとの相性がいいので一緒にソテーにして冷酒のつまみにするのもいい。
一杯やっていると歌も出る。
菜の花畑に入り日薄れ見渡す山の端霞みふかし 春風そよ吹く空を見れば夕月かかりて匂い淡し
里わの火影(ほかげ)も森の色も 田中の小路をたどる人も 蛙(かわず)のなくねもかねのおとも さながら霞める朧月夜 (作詞 高野辰之、作曲 岡野貞一)
この歌は「菜の花」という題名だと思って歌い始めたものの、最後まで歌ってみて気がついた。
なるほど「朧月夜」であった。
思い込みは恐ろしい。
菜の花や月は東に日は西に 蕪村