菊祭

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新型コロナウイルスによる感染拡大によりほとんどの祭やイベントが中止になり、緊急事態宣言解除後も密を避けるために、また準備不足などで秋までは中止の続く日々が続きそうです。

本ブログも一時中止していましたが、過去の祭やイベントを掲載することで気分だけでも東京の江戸情緒や楽しさを味わっていただけたらと思います。

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第五十侯は「菊の花開く」である。

この頃から菊祭り、菊人形まつりは本格化する。
丹精込めて作り上げられた菊花の見事さには感心するばかりだが、国花であるためか菊花展には内閣総理大臣賞ほか各省の大臣の賞がずらりと用意されている。
自治体からの賞もある。
その名誉を受けるためにも作家の方々が張り切っているわけである。
それらのコンテストがだいたい10月下旬から11月に行われる。
一本立て、三本立て、七本立て、盆景、盆栽、菊人形などの部門別に賞が贈られる。

 

確かにすごいが、私は素人だが、どこかやりすぎな感じが否めない。
自然な感じがしないというか。
厚物(あつもの)など、無理やり肥満にさせられた愛玩動物のように見えるときがある。

実は菊人形にいたってはその存在価値すら感じない。
作り物の顔などの人工物でようやく人形っぽく繕ってはいるものの、菊自体だけでは人間に全く見えないからだ。
いや全く個人の好みなので申し訳ない。

 

菊はどうもコンテスト用、仏壇用、野に咲く可憐な野菊と異なる三つのイメージがある。
そしてもうひとつ菊の季節には、おいしい菊も出回り始める。
今ではすっかり観賞用の菊花だがもともと菊は食用や薬草として用いられていた草花である。

食用菊はおひたしや鍋物の仕上げにドバッと豪快に撒くと一気に華やぐ。
キク科の春菊は春に花が咲くが葉と茎の食べごろは秋冬ですき焼きには欠かせない。
葉と茎がすき焼きに合うということは花も合うはずである。
今度すき焼きと一緒に菊花を食べてみよう。
仕上げは桝酒に菊花を浸らせての菊酒か? 

菊花の話が結局は食い物の話になった。
やっぱり私は「花より団子」なのだ。

 

ただし菊花という文字を見てすぐにG1競馬の「菊花賞」を思い浮かべた諸兄も多いかも。
酒にギャンブル、まったく男って奴は…。

 

寒菊の雪をはらふも別かな 犀星

 

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菊祭